製造業から情報産業へ 、
次代の先進産業として、変革は始まっている
ドイツのヨハン・グーテンベルグが鉛活字による活版印刷方と印刷機を発明したのは15世紀の中頃。コロンブスがアメリカ大陸を発見する50年前、ニュートンが万有引力を発見するのは200年以上も後のことである。
この活版(凸版)印刷に始まるプリンティングテクノロジーは、現在では様々なバリエーションに展開している。
さらに、その工程に劇的な変化をもたらしたのはコンピューターによるDTPの普及である。1984年にアップル社がマッキントッシュを発表し、前後してDTPに不可欠な基幹技術やソフトが次々と登場。その進化の大きな波はまたたく間に世界中を席巻し、現在では印刷物の作成をDTPに頼らない印刷会社を探すのが困難な状況である。
印刷産業を根底から支えているのは技術ではない。書物の複製を写本に頼っていた時代から変わることのない「情報を伝えたい、分かち合いたい」という人間のニーズである。
「情報伝達・共有」への限りない欲求は、次々と新しいメディアを生み出した。
そして1990年に商用利用を開始したインターネットによって、情報はアナログコンテンツからデジタルコンテンツへと移行し、現在は多岐にわたるデジタルメディアでの情報発信が求められている。
本来、印刷業の根本は、情報を具現化し加工することにあり、印刷はその最終的なアウトプットの手段のひとつに過ぎない。アナログからデジタル化されようとも、その根幹は少しも揺らぐことはない。
次代のインフォメーション・テクノロジーの担い手として、私たちに課せられる期待は、自身が思うよりもはるかに大きい。印刷メディアと電子メディアを融合した複合的な取り組みは、既に始まっている。
インフォメーション・テクノロジーの使い手として
印刷メディアと電子メディアを複合的に提供する、いわゆるクロスメディアビジネスは大きな可能性を秘めている。同時に、それぞれのメディアに適したより魅力的なコンテンツに仕上げる新たな表現力と技術力が求められている。そこには製造業から情報産業へと確実に進化し続ける姿をはっきりと見ることができる。
多様化するメディアとニーズ、進化する技術、そして業界の未来を担っているのはまぎれもなく新しい才能である。
(山形県印刷工業組合ガイドブックから抜粋)